不正出血に気づいたら、婦人科へ
「子宮体がん」について記事を書くため、医師に話を聞いた。日頃から「体がん」についての情報が「頸がん」に比べて少ないと感じていたので、取材の覚書も兼ねて簡単に記しておこうと思う。
子宮体がんが増え続けている!?
自治体の健康診断に入っている「子宮がん検診」は「子宮頸がん検査」だ。「子宮体がん検査」は不正出血などの症状がない限り行われることはない。
子宮頸がんは子宮の入り口付近にできるがんで、子宮体がんは子宮の奥深くの子宮内膜にできるがん。同じ子宮内だからたいした違いはないだろうと思うかもしれないが、発生メカニズムが違うので、全く異なるがんなのだ。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルスというウイルス感染が原因。一方の子宮体がんは、女性ホルモンの一つであるエストロゲンが子宮内膜に触れ続けること、つまりエストロゲンの子宮内膜への過剰な働きかけが原因で起こる。
……なんて難しい話はさておき、ワクチン接種が問題になるなど話題も多く、女性にとっては年に一度の健康診断で嫌でも身近な病として意識させられる「頸がん」と違って、「体がん」はいまいち危機感を覚えにくい病ではないだろうか。
ところが、である。いま、子宮頸がんより子宮体がんになる人のほうが圧倒的に多いのだという。
知らないよ、そんなこと!
1990年代までは確実に「頸がん」のほうが多かったそうだ。少々雑な表現になるが、頸がんはこの20年、多少増えてはいるものの横這い傾向。体がんは2000年以降、上昇の一途をたどり、2005年前後には「頸がん」を抜き去り、今も上昇を続けているというのだ。
早い時期から症状を現してくれるから
なのに、なぜ子宮体がん検査は健康診断に組み込まれないのだろう。
理由はいくつかあるが、検査時の痛みが頸がんより強いのに、検査精度は逆に低いという難点があるのが一つ。ちなみに、およそ10%は見逃しがあるそうだ。でも、最も大きな理由は、子宮体がんは非常に早い段階から「不正出血」という症状が出るので、症状が出たときに検査を受けて調べれば十分間に合うからだと、今回わかった。
主な発症年齢は閉経前後の50歳周辺。このころはホルモンバランスが崩れるので月経が乱れがちになるが、この時期こそが好発年齢だと知っておきたい。気を付けるポイントは唯一つ、不正出血だ。「月経の乱れかな…」「「そろそろ更年期ね」なんて言い訳せず、不正出血に気づいたら、迷わず婦人科に足を運ぼう。
日々外来で患者さんを診ている医師いわく「ほとんどの子宮体がんは、不正出血で来院したことで見つかっています。そのうち8割はもっとも早期のⅠA期。治療で治癒できる段階です」とのこと。
たとえがんになったって、治せばいい。だから不正出血に気づいたら、すぐに婦人科へ。50歳前後の閉経期はもちろん、それ以前でも以降でも。
こんなに早い時期からわかりやすい症状を出してくれるがんは他にあまりないのだから。
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