娘が繋げてくれた15年ぶりの再会

日々のこと

娘、中学1年生。本日、中学初の体育祭。

嬉しい再会という目的

コロナ禍も落ち着き、今年からは保護者も見学可。というわけで、娘が出るクラス対抗リレーの時間に合わせて、中学へ向かった。だけど実は今日、体育祭のほかに、私には大事な目的があった。

1ヵ月ほど前だっただろうか。1本のメールが入った。それは、15年ほど前、仕事でお世話になった方からのもので、1行目に「このメアドは変わっていないでしょうか?」と綴られていた。

そこには、彼女が今、娘の中学の図書館で司書をされており、「もしかしたら、娘さんではないかと思ったので連絡します」と書かれてあった。

こんなことがあるんだ……!

彼女との出会いは書店だった

17年ほど前、編集一筋だった私は突如、営業部へ異動になった。編集しか知らないのに、35歳を超えていまさら未知の営業だなんて……。

天地がひっくり返るほどの衝撃を受けたけれど、「これも経験!」と思い直し、とにかく書店営業の世界に飛び込んだ。それは私にとってまさに「転職」。会社は変わらずとも、それ以上の「転職」はなかった。

毎朝、朝礼での売り上げ報告に始まり、日々、数字とにらめっこ。編集時代とは何から何まで違う生活に、しばらくはどう過ごしていたかすら思い出せない。

そんな私が営業の仕事に楽しさを見い出したのは、各地の書店を巡って出会う書店員さんとの交流だった。

彼女とは、千葉の書店で出会った。同年代で、好きな本の趣味が似ていた。この作家の本を多くの人に届けるにはどんな切り口でフェアを展開したらよいか、どんなポップを立てたら読者に響くか、そんなことを時間を忘れて語り合った。

彼女の書店に行く日は、お昼前の時間を狙い、仕事を終えたらそのまま一緒にランチへ向かう。そこでも本の話。途中から、仕事かプライベートかわからなくなる。それが楽しかった。

「最近、どの本が面白い?」から

私の営業時代を支えてくれたのは、全国に何人かいてくれたそんな書店員さんたち。編集ができなくてつらい日々ではあったけど、営業に行った先々で「最近、どの本が面白い?」から始まって、書店員さんと語り合ったあの時間は、やっぱり楽しかった。

自社本の営業そっちのけで、面白い本の話をしている時間のほうが長かった(^_^;)

3年が過ぎ営業を去ることになったとき、彼女たちと仕事で会えなくなるのは寂しかった。

あれから15年以上が過ぎ、その間、私は福岡に転居したり、出産育児で仕事を離れたり。そして、時とともに、彼女たちとの連絡も途絶えていった。ただ、千葉の書店員だった彼女とは、不思議と年賀状のやり取りだけが続いていた。

だから、生きているって面白い

その年賀状で、娘の名前を憶えていてくれたのだろう。福岡に転居した私が、千葉に戻ったことも知っていた。そして、今年の新入生の中に、見覚えのある名前を見つけてくれたということか。

全校生徒数百人の中で、よくぞ目に留めてくれたと思う。書店員だった彼女が司書となり、しかも、娘が入学した中学に勤めているなんて。こんな偶然、あるんだろうか。

いや、あるんだと思う。

不思議だけど、人生って偶にこういうことがある。だから、生きているって面白い。

そして本日、娘の中学の体育祭。

お祭りの喧噪の中、図書室の入口で、15年ぶりの再会を果たした。15年前と何も変わらない彼女の笑顔が眩しかった。

「近いうちに、ゆっくりランチしようね!」

また、たくさん本の話をしよう。この15年間の積もる話とともに。

 

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