夢に込められたメッセージ
我が町の憩いの場「じゅんさい池公園」のほとりにあるカフェ「珈琲飄々」。ここで、ユング心理学者・早乙女紀代美さんのお話を聞いた。テーマは「夢を紐解く」。
心の澱を掃除している
人は眠っている時間の4分の1は夢を見ているそうだ。8時間睡眠なら2時間は夢を見ているということになる。人生90年と仮定して、1日8時間眠るとすると、なんと一生のうち、7年半もの間は夢の中にいるわけだ。
7年以上の時間を無駄にしているのかといったら、とんでもない。人は夢を見ることで心の澱(オリ)を掃除し、気持ちを整理することができるのだそうだ。
心配事で心が乱れていても、眠って朝起きたら「たいしたことじゃないわ」と思えることは結構ある。あれは夢を見て、心を整えることができたから。
夢を見るのは人間だけじゃない。犬も猫もネズミも、少なくとも哺乳類は皆、夢を見る。夢を見ているかどうかは脳波でわかるらしく、夢が生命にどう関わっているかを調べるために、昔、豚で「断夢実験」が行われたそうだ。
眠った豚の脳波を見続け、豚が夢を見始めたら起こすことを繰り返したら、結果、その豚は死んだらしい。ずいぶん恐ろしい実験をしたものだ。それはともかく、「夢を見ること」は、それほどに「生きること」に直結してるってことだ。
夢は覚えていなくとも
でもさ……と思う。
私だけかもしれないけど、夢を見ていた気はするけど、覚えてない。朝起きた瞬間はおぼろげながら記憶があるけど、立ち上がった瞬間にきれいサッパリ忘れている。
それでも全然かまわないんだそうだ。覚えていることが大事なのではなく、夢を見ていることじたいが大切で、夢を見ながら、現実世界で千々に乱れたさまざまを整理して、心を整えることができているんだって。
むむむ……やばい。おもしろ過ぎる。
人生の節目に見る深い夢
さらに興味深いことに、人生の変わり目や、その人にとって必要なときには、深い夢を見るそうだ。そういえば、数年に一度、強烈に覚えている夢や、繰り返し見る夢、というものがある。それには、やはり大きな意味があるってことだ。
人間誰しも、世の中の価値観や周囲の目を無視しては生きられない。だけど、そんなことに振り回されたり縛られたり、さらには、いつしか周囲の価値観を自分の価値観と勘違いして突き進んでしまったりすると、その影響は体に現れる。いわゆるストレスとか、無理がたたった、っていうやつだ。
そんなタイミングか、もっと前かは人それぞれだろうけど、そんなときに深い夢を見ることが多いそうだ。
これは、自分自身の無意識が「違うでしょ!」と語りかけているってこと。
そこに込められているのは、「このことに気づいたら、もっと自分らしく楽しく生きることができるよ」というメッセージ。
ちょっと眉唾な感じがしないでもないけど、私自身は、とても腑に落ちた。
わかる! わかる気がする! と思えた。
そもそも「自分らしく生きる」って、言葉で言うのは簡単だけど実はとても難しい。何が自分らしいのか、そこを取り違えていたら元も子もないのだから。
とにもかくにも、睡眠時間の4分の1は夢を見ているのだとしたら、体のためはもちろん、心を整えるためにも、しっかり眠って、いっぱい夢を見たいものだ。とりあえず、夜更かしはやめようと思う
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