『はたらく細胞』で「がん」を考えた
ここのところ、我が家のブームは『はたらく細胞』。
夕食時のひそかな楽しみ…
お行儀悪いとは思いつつ、夕食の時間に食卓の隅にパソコンを開き、家族で『はたらく細胞』を見ている。
テレビを見ながらよりはマシかな……と思っていたけど、いや、テレビと何が違うのか?! むしろ、テレビのほうがマシかも……(;^_^A
まあ、20分ほどで1話が終わり、その後、いろいろおしゃべりもできるので、よしとしよう。
昨日の話は「がん細胞」だった。
「がん」は、ウイルスでも細菌でもない。そもそも、外界から体内に入り込んだわけではない「がん細胞」を、アニメでどう描くのだろうか。見る前から、私は興味津々だった。
結論から言うと、素晴らしかった。
なるほどー。そう描けるよね。笑点なら、迷わず「座布団2枚!」。
中でも何にいちばん感心したかというと、「がん細胞」を単なる超絶ワルモノに描いていなかったということだ。
いや、がん細胞は、間違いなくワルモノだ。だけど、ウイルスや細菌と根本的に違うのは、がん細胞は自分自身の体の中で生まれ、成長したということ。
がん細胞の視点から見てみると
体内で細胞が増えていくとき、通常は規律正しく整然とコピーが繰り返される。ところが、非常に少ない確率だけど、一定の割合で増殖過程にエラーが起き、変異細胞として生まれてしまうことがある。いわゆる「ミスコピー」。
人は皆、実は5000個ほどのミスコピーを、日々、生み出しているらしく、これがいわゆる「がん細胞」の赤ちゃんだ。だけど、これらのミスコピーは生まれてすぐ、見回りをしている正常細胞に殺される運命にある。
ところが、ところがだ。
このミスコピー、天文学的な低い確率なんだろうけど、見回り細胞の網の目をかいくぐり、どこかにひっそり隠れて成長してしまうことが、まれにある。これが「がん細胞」になっていく。
このことを『はたらく細胞』は、見事に映像で表現していた。
で、私が感動したのは、成長して化け物となった「がん細胞」が、自身の幼いころを振り返って語る場面だ。
ミスコピーが起きて変異細胞として生まれた自分。生まれた瞬間から、とにかく逃げ続けていたと言う。「僕は生まれてきただけなのに、なぜ殺されなきゃならないの?」と泣きながら、逃げ続けた。
仲間は捕まって殺され、自分だけが生き残り、そして時が経ち、「がん細胞」になった――という話だった。
自分の中で生まれたもの
「がん細胞」は無秩序に増殖を続け、どんどん仲間を増やしてしまう。
そのためには大量の栄養分が必要。だから、自分たちのために血管を新しく作り出して、体内の栄養分を無理やり引っ張ってくる。そして、無尽蔵に増え続ける。その様子も、見事に描かれていた。
最終的に、マクロファージ、NK細胞、キラーT細胞といった免疫細胞の命がけの活躍で「がん細胞」は殺され、世の中(体)は無事に平和(健康)を取り戻すという結末だった。
見終わった後、「がん」という病を見事に表現しただけでなく、「がん細胞」側の視点さえも描き込んだ『はたらく細胞』の作者に感服した。
がん細胞は、外から入ってきた異物じゃない。自分自身の体の中で生まれたもの。誰しも、がん細胞の赤ちゃん(変異細胞)は、毎日、間違いなく生み出していて、その都度、正常細胞によって駆除されている。
だけど、何かの隙に、変異細胞が逃げ切って成長してしまうことは、誰しもあり得ることなのだ。
もちろん、がんにはなりたくない。だけど、もし、もしも「がん」がやってきたときは、まず、そもそも外敵ではないことを思い出したい。最初は自分の体の中で生まれた、たった1個の変異細胞だったんだということを。
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