船橋屋の「くず餅」が戻ってきた!
娘と私の好きな和菓子に、船橋屋の「くず餅」がある。
「癖がない」という魅力
くず餅じたいにはほとんど甘みがない。それでいて、柔らかくもしっかり存在感ある舌ざわりと触感は、ほかにはたとえようがない。
くず餅というと、透明でプルンとしていて、砂糖ときな粉がまぶされているものが思い浮かぶ。口に入れた瞬間にとろけるような、そんなくず餅も大好きだけど、船橋屋のくず餅はまったくの別物だと思う。同じネーミングにムリがあるんじゃないかと思うほど違う。
そもそも、形が違う。箱を開けると、大きな長方形の白いくず餅がドン。そこに台形に切れ込みが入っていて、一つひとつ、きれいに取り出せるようになっている。取り分ける前の姿を見るたび、のし餅を連想するのは私だけだろうか。
そこから5、6切れ取り出し、添付の黒蜜ときな粉をかけると、なんとも見目麗しい「くず餅」となる。
初めて食べたときは「感動!」というほどでもなかったことを覚えている。それほど癖がなく、驚きもない。なのに、なんだか味わい深い。
実は、この「癖のなさ」こそが最大の魅力。一瞬の驚きや感動ではなく、じっくり体に染みてくるような穏やかな時間を運んでくれる、と言ったらいいだろうか。
2年前、駅ビルの改装に伴って船橋屋が撤退したときはショックだったけど、昨年末、戻ってきてくれた。駅ビルの地下街に「船橋屋」を見つけたとき、めちゃめちゃ嬉しかったのはきっと私だけじゃない。
黒蜜もきな粉もかけない?!
船橋屋の歴史は古く、江戸時代、学問の神様と慕われる亀戸天神の境内に生まれたそうだ。初代の勘助さんが、下総(船橋)名産の小麦粉を材料にくず餅を作ったのが発祥だとか。
船橋は、昔は小麦粉の産地だったのか! 幼少期を船橋市で育ったけれど、全然知らなかった。馴染みの土地から生まれたお菓子だと思うと、さらに愛着が湧く。
ちなみに私は、船橋屋のくず餅を食べるとき、5切ほどを黒いお皿に盛り、黒蜜、きな粉をたっぷりかけていただく。黒蜜→きな粉の順番にかけるのもポイント。
だけど娘は、驚くことに何もかけない。くず餅だけを、そのまま「おいしい!おいしい!」と、放っておくと何個でも食べる。
最初はもちろん、黒蜜もきな粉もかけていた。そのうち「私のは、黒蜜は少しにするね」と言うようになり、さらに「きな粉はきな粉だけで食べたい」となった。
そして、とうとう「黒蜜もきな粉もかけない」に行きついた模様。なんでも「くず餅」そのものがおいしいんだって。
マジか?!
試しに食べてみた。独特の触感と味わいは船橋屋の「くず餅」ならではだけど、さすがに物足りない。黒蜜ときな粉をかけてこそ完成する味だと、私は思うんだけどなあ……。
でも娘は、がんとして「くず餅だけのほうがおいしい!」。へんなの。
だけど、待てよ。娘のほうが「くず餅」そのものを食べてるってことだよね。初代・勘助さんは喜んでいるかも。
それにしても、船橋屋のくず餅、珈琲に合うなぁ~(*^-^*)
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