時間も距離も離れていても
大学時代に出席番号が並んでいたことで仲良くなったM。
当時から独自の世界観を持つ彼女は、群れず、流されず、自らの歩みを進める人だった。
それは、いわゆる女子大生のフワッとした暮らしとは距離を置いているように、私には見えていた。
20年ぶりの再会から
大学卒業と同時にオーストラリアへ飛んでいった彼女は、かの地で出会ったドイツ人と結婚し、26歳でドイツへ。それから25年、今もドイツに暮らしている。
時が流れ、いつのまにか互いの連絡先がわからなくなり、何年も連絡を取り合っていなかったけれど、数年前、ふいに「このアドレスで届くかな?」という懐かしいメールを受け取り、やりとりが復活した。
私が地方から関東に戻ったタイミングも重なり、それからは1年に一度、一時帰国したMと会い、長い時間を埋めるように語り合った。3回目を楽しみにしていた矢先、コロナ勃発。それ以来、彼女は帰国できていない。
Mとは娘を持つ母親同士だが、1年に一度しか会えない貴重な時間の中で語り合う内容は、もっぱら私たち自身のこと。そこに、子どもの話は不思議なくらい出てこない。
今、夢中になっていること、これからチャレンジしようとしていること、10年後はどこに住んでいたいか。話は尽きない。
最後に、思い出したように娘の話題になったとき、年齢は離れている互いの一人娘には、バレエや百人一首という共通の趣味があることを知った。
そこでタイムオーバー。
続きは来年に、ということで別れたのが2年前。
コロナが収まって次に会うとき、私たちはやっぱり自分たちのことを語り合うだろう。
母の日のサプライズ
日曜日、自転車で公園に向かい、いつものように友達と遊びまくっていた娘が、ひょっこり帰ってきた。
「あまりに暑くて水筒の中身がなくなったの」
水筒を満杯にしてまたすぐ出かけて行った娘は、夕方、赤いカーネーションを大事そうに抱えて帰ってきた。
「あのとき、みんなで決めて、ママに内緒でおこずかいを取りに帰ったんだよ」
そうだったんだ。そんなことを考えてくれるようになったんだね。
「母の日」のサプライズ、大成功だよ。ありがとう。
ディスカッション
コメント一覧
まだ、コメントがありません