カーリング女子、決勝戦を前に思う
北京オリンピックもいよいよ終盤。ここにきて、カーリング女子から目が離せない。
超僅差での予選通過!
予選から注目していたけれど、10チーム総当たり戦の予選は、ものすごくタフ。
なにせ1試合2時間半もの長丁場。しかも一戦一戦、手に汗握る展開だ。激闘を繰り広げた翌日(ときに十数時間後)には、爽やかな笑顔で次の試合に臨む「ロコソラーレ」の4人を見ていると、それだけでも毎日、感じるところがあった。
予選最終戦でスイスに敗れ、敗退したつもりでインタビューに答えている真っ只中に「準決勝進出」の速報が入ったのは一昨日の夜中。悲しみが喜びに変わる瞬間は、もれなく「驚き」が入るのだと知った。驚きか安堵か、藤澤さんがその場に崩れ落ちたのも印象的だった。
最終戦を同時進行していた「スウェーデンvs韓国」でスウェーデンが勝利したことで、総当たり9戦の勝敗結果で、英国、日本、カナダが並んだのだ。この中から準決勝に進めるのは2チーム。
この場合、この3チームの勝敗差で決まるらしいのだが、それも1勝1敗で並んでいた。まったくの互角。このケースでは、試合前に先攻後攻を決めるために行うラストストーンドローの距離が短い順に勝ちが決まるそうだ。
それによって、3チームの順位は僅差で英国、日本、カナダの順になり、日本は4位通過で準決勝進出が決まったとのこと。ここまで差がないのなら、この時点で3国とも準決勝に進めたらいいのに……と思ったのは私だけだろうか。準決勝からはリーグ戦だから、5チームでは無理だとわかってはいるけれど(-_-;)
負けてきたからこその強さ
あの会見から24時間も経たない昨晩、準決勝が行われた。相手は前日敗れた最強チーム「スイス」。
予選通過1位 vs 4位。順当に行けばスイスが決勝に進むはず。だけど、私はもちろん、多くの日本人が日本の勝利を信じたのではないだろうか。
なんだか、負ける気がしなかった。前日のスイス戦だって、決して力の差があったわけではない。ちょっとしたミス、ちょっとしたアンラッキー。そんなことはあったけれど、どちらが勝ってもおかしくない試合だった。
何より、「ロコソラーレ」の4人を見ていると、そんな気持ちにさせてくれる。彼女たちの言葉と笑顔にはそんな力がある。
そして、それは現実のものになった。予選トップ通過のスイス相手に堂々たる勝利。準決勝後のインタビューで吉田知那美さんが語った言葉が忘れられない。
「4位通過の私たちの最大のアドバンテージは、たくさんのミス、劣勢を経験できていたこと。3点、4点取られることもすでに経験していたので、途中、3点とられたときも驚くことなくできました」
予選9戦を終えた時点での日本の結果は5勝4敗。4回、悔し涙を流し、そのたびにチームで話し合い、どうしたら同じことが起こらないかを検証し続けてきたのだろう。そして同時に、オリンピックという舞台で劣勢に陥ったときに、いかに気持ちを立て直してゆくかも学んでいたに違いない。
吉田さんのこの言葉を聞いたとき、このチームは本当に強いと思った。明日の決勝も心して見届けたい。
「again!」の意味とは
ただ一つ、決勝戦では、ぜひスウェーデンと対戦してほしかった。
一度は予選敗退を覚悟した日本が4位通過できたのはスウェーデンの勝利があったから。試合後、スウェーデン選手が、日本選手に「again(また)!」と声をかけたというエピソードが、何とも素敵だ。
今回の予選通過の成り行きは、4年前の平昌オリンピックとほぼ同じだったらしく、そういえば会見中に藤澤さんも「デジャブ!」と言っていた。4年前も、予選最終戦でスイスに敗れて敗退を覚悟した直後、4位を競っていた米国にスウェーデンが勝利してくれて日本は4位通過。
何という救世主、スウェーデン!
だから、この「again」は、「また同じ展開だね」という意味に捉えられているけれど、私は違うと思っている。
いろんな意味にとれるこの「again」。「決勝戦で会いましょう!」だったんじゃないかな。
何はともあれ、イギリスとの決勝戦は明日、2月20日。ぜひもう一度、4人の最高の笑顔を見たい。
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