妹から受け取り、弟へ引き継いでゆく
小5の娘、宿題には手も付けず、リビングの片隅で、なにやらごそごそやっている。
シンプルの極致にして、優れもの
「何してるんだろう……」と思いつつも、私は本を読んでいたので、途中から娘の気配も飛んでいた。
小一時間経っただろうか。気づくと、リビングに残されていたのは……小さな公園?!
昔、私が今の娘と同じくらいの年齢だったころ、ウチに「リブロック」というブロックがやってきた。当時私は、ブロックに夢中になるにはちょっと大きくなり過ぎていたように思う。
3歳下の妹も、ブロックよりシールに夢中。リブロックにのめり込んだのは、当時5歳の弟だった。
このリブロック、一見、何の変哲もない「ただのブロック」だったが、シンプルの極致にして、ものすごい優れものだった。
三輪車を作れば、幼稚園児が実際に乗って漕げるほど本格的。あっという間に夢中になった弟は、毎日、リブロックで新たな遊具やら乗り物やらを作り出した。
ハードカバーのカラフルで大きな説明書には、たくさんの遊具や乗り物の作り方が、わかりやすい写真と一緒に並んでいる。一つひとつ見ながら作っていた弟は、いつからか自作の乗り物を作るようになった。
そのころになってようやく私もリブロックの偉大さに気づいたが、たしか既に6年生だっただろうか。興味は別のところに行っていたから、「へえ~」と感心はしたものの、結局、私自身がリブロックに夢中になった覚えはない。
その後、弟の成長とともに、リブロックはお蔵入りになっていった。
されど母は、いつの日かきっと誰かが使うと信じて、手離さずに置いておいたらしい。10数年の時を経て、まずは妹の息子たちの手に渡った。
妹も、息子たちが遊ぶようになって初めて、リブロックの偉大さに気づいたらしい。劣化して壊れるパーツも出てきたので、新しいリブロックを買い足し、新生リブロックは、二人の息子たちの想像力を大いに搔き立てたようだ。特に次男が夢中になったと言っていた。
次は、弟の娘たちへ
そして6年ほど前、妹の息子たちからバトンを受け取ったのは、我が娘。やはり5歳のときだったと思う。
リブロックは同じ形のものが大小あって、大きいブロックで作れば、三輪車なら子どもがちょっとまたがって乗れるくらいになる。幼稚園のころは、実際に乗れるのが嬉しくて、もっぱら大きいサイズで作っていた。
妹が継ぎ足してくれたおかげで、ブロックの分量も十分。いろんなものが作れた。作っている最中に、壊れるブロックたちもいて、それはきっと40年越しに我が家へやってきた懐かしい子たちに違いなかった。
娘もよく作っていたけれど、今では棚の中の定位置に収まり、いつの間にかその存在を忘れていた。
娘、本日、どうやらそれを引っ張り出してきて、久しぶりにリビングで作っていたようだ。
娘がいなくなったリビングに残されていたのは「公園」だった。
ブランコ、滑り台、シーソー、三輪車、そして、1つ、四角い箱? よーく見ると、それは公衆トイレ!?
ただ、すべて、小さいサイズのリブロックで作られているので、ミニチュアサイズ。なんとも可愛らしい公園だった。
ミニチュア公園を眺めながら、妹から我が家へリブロックが送られてきたとき、添えられていたメモ書きも思い出した。
「リブロックのバトン、引き継いでね」
おっと。私も、弟の娘たちにバトンを渡さなきゃ。ちょっと遅くなってしまった。
リブロックに誰より夢中になったのは、弟。そして、彼の娘たちは今、まさにリブロックを楽しむ時期に入っている。近いうちに、弟にリブロックセットを送ろうと思う。
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