母の力は、梨の力に及ばない

日々のこと

梨

雨続きのお盆。毎日、ほとんど外で遊んでいる娘も、雨には勝てず、家にいる。

この空間、どうしてくれるの?!

夏休みも折り返し地点を過ぎた。

外遊びに忙しくてずっと気づかなかった(見て見ぬふりしてた)山積みの夏休みの宿題を、さすがにチラチラ見始めた娘。おっ、ようやく手を付ける気になったか。

ドリル、自由研究、読書感想文、地図作り……。とりあえず大物から片付けようと思ったのか、読書感想文にとりかかった。その意気込みはすばらしい。

と思ったら、いきなり挫折。気づいたら、床に模造紙を広げて地図を描き始めた。

北海道と東北地方が姿を現しかけたと思ったら、そのまま放置して、再び原稿用紙とにらめっこ。1枚目の半分ほど埋めたと思ったら、ソファの背もたれの上に寝そべって、窓から空を見上げていた。なぜか娘は、ソファではなく、背もたれの上の細い部分に横になる。

机の上にはドリル、リビングの床には描きかけの地図の模造紙、ダイニングテーブルには原稿用紙が散乱。どうしてくれるのだ、この落ち着かない空間を!

つい、また目を吊り上げそうになりながら娘を見ると、今度は読書感想文とは関係ない本を読んでいる。10分と同じ場所にいない娘。私の小学生時代もこんなふうに過ごしていたのかもしれないなぁ…と、今度は私の目が遠くなる。

ボールのバウンドを調べて何になる?

小学5年生だったか6年生だったか忘れたけど、夏休みにヘンな自由研究をした。

いろんなボール、というより丸いものをかき集め、どのボールがどれくらいバウンドするかを調べるという、いったい何のためか、誰のためかもわからないような自由研究に時間をかけた。

ドッジボール、野球ボール、スーパーボール、まり、布ボール、終いには丸がなくなり、一部が丸のものならよしとした。だから、バドミントンのシャトル、料理用のザルやボールまで。

なぜこんなことをしてるんだろうと思いながら、妹を助手に、あらゆるボール(丸)をあらゆる高さから弾ませて、バウンドした距離を瞬時に巻き尺で測って記録した。

妹こそ、いい迷惑だ。なんだかわからないけど、言われた通り、言われたものを、言われた高さから落とし続けた。よく付き合ってくれたものだ。だぶん、覚えていないだろうけど。

あの研究はいったいどうなったのだろう。提出したかどうかも皆目覚えていない。ただ、ずっとボールをいじっていたことだけは覚えている。

そんな夏休みだったのだから、娘にとやかく言えたものではないけれど、とりあえず、どれか一つ、落ち着いて取り組んでほしいと願う。

降り続く雨をうらめしそうに眺めながら、今もやっぱり、ソファの背もたれの上で、微妙にバランスとりながら、寝そべっている。名目上は「読書感想文を考えている」。いや、たぶん「雨、やまないかなぁ…」と思っているに違いない。

梨の力

「梨、食べる?」と聞いてみると、たった今、遠い目をして空を眺めていたのが嘘のように輝く。

「食べる!」

母の力は、梨の力には到底およばない。

好きなものを食べるときだけは、目を輝かせて集中してるのだけどなぁ…。

 

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