おさななじみの雄姿を見届け、思うこと
12月27日午後2時。全日本ピアノコンクールのHPを開き、ライブ動画をクリックした。
おさななじみがコンテスタント!
全日本ピアノコンクール本選、小学生高学年の部をオンタイムで聴くためだ。
福岡時代の娘の親友が出場するのだ。この全日本ピアノコンクールの本選に!
私の気分は、ショパン国際ピアノコンクールの本選。「世界」が「日本」に、「大人」が「子ども」になっただけ。緊張感はもちろん、それまで練習に費やしてきた時間も思いも、計り知れない舞台だ。本人の思いも、家族の思いも。
なんたって本選は、地区大会、県大会、ブロック大会を、すべて勝ち抜いた子だけが立てる夢の舞台。めちゃめちゃすごい。
出会いは、赤ちゃん?!
おさななじみのU君と娘は、生まれたばかりのころ、福岡市のとある子どもプラザ(福岡市の子ども館)で出会った。
まあ、出会ったのは、U君のお母さんと私だけどね。
私たちがなんだかとっても気が合って、おしゃべりしてるうちに、子どもたち二人もすっかり仲良くなっていた。
お互いの姿を見つけると駆け寄っていって仲良く遊び、で、たいてい10分後にはケンカしてる。ほとんど、オモチャの取り合い。
「かーしーて!」
「だーめーよ!」
で、どちらかが、泣く。
「また始まったよー」
私たちは、遠くから見て笑ってる。
で、しばらくしたら、何事もなかったかのように、また仲良く遊んでる。
で、10分後には「かーしーて」「だーめーよ」( ;∀;)
まあ、よく飽きずに繰り返すもんだと、呆れながらも可笑しくてたまらなかった日々が懐かしい。
娘が4歳になる年に、我が家が東京に転居して、U君家族と離れ離れになってしまったけど、1年に1度は行ったり来たりして互いを訪ね合っていた。コロナ禍までは。
コロナが勃発して2年、ずっと会えてない。こんなに長い間、会ってないのは初めてだ。寂しくてならない。
そんな矢先、ビッグニュースが飛び込んできた。
U君が全日本ピアノコンクールの本選に出場するという。
ピアノを頑張っているのは知っていた。我が家に遊びに来たときも、ブルグミュラーの「アラベスク」を弾いてくれた。たしか2年生ぐらいだったなあ。見事だった。
その後も、ピアノの演奏動画を送ってもらうたびに上達著しくて、娘と一緒に「これ、ほんとにU君?」なんて失礼なことを言って絶賛してたのだけど、やっぱり、ほんとにすごかった。
凛々しさと清々しさを舞台に残し
で、12月27日、動画視聴で本選をライブで見届けた。
たった一人で舞台に上がり、しっかり前を見据えてお辞儀してから、椅子の高さを自分仕様に合わせ、椅子に座る。
たっぷり時間をとって気持ちを鎮め、さっと手をピアノに載せて、弾き始めた。
音の粒が1つひとつ、ピアノの上を転がるように、それでいて一音、一音、しっかりと力を持って駆け抜けていく。
6分間の曲。聴き入りながら、指の動きやピアノに向かうU君の表情を見ていたら、なんだか泣けてきた。
出会ったころは何しろ赤ちゃん。ハイハイはおろか、二人とも手足をバタバタさせてるだけだった。そこから座れるようになり、ハイハイし始め、伝い歩きから歩き出し、そして走り始め――。
その一部始終をずっと見てきたので、U君は私にとっても、特別なんだ。
U君も娘も、外で走り回ってドロンコになって遊ぶのが大好きで、いつも一緒に何時間も外で遊んでた。「おうちに帰るよー」と言うと、いつも「やだー!」と二人して逃げた。
そんな二人、生まれは3カ月も違わないのに、生まれ月が4月を挟むので、学年が違う。
U君は今、6年生。会えない2年間で背もずいぶん伸びて、表情も凛々しくなったなぁ。
演奏を終えて清々しい表情で舞台をあとにするU君を見届けてから、娘と二人、どちらからともなくつぶやいた。
「会いたいね~」
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